海外ベンチャー通信

外資系ITコンサル→海外事業の戦略コンサル

コンサルが増えすぎた

毎週更新すると書いておきながら、半年が経ってしまった・・・

ネタはあるのだが、更新する時間がなかなか取れない。
今回はコンサルが増えすぎたというテーマ

コンサルが増えすぎた

アクセンチュア、デロイト、pwc、KPMG、EY等をはじめとして
私の周りにあまりにも中途採用の内定者が多い気がする。
サブコン型ITコンサルを加えればさらにコンサルと名の付く人は多い。

背景としては、これらのコンサルファームは”人月計算の派遣型ビジネス”にあることと、電通の過労死事件が影響している。




案件単価を大きくしたければ大量のスタッフを派遣させる。
また、「人の倍の労働時間で働く文化」から「人の倍を雇って、残業をなくす文化」にシフトした。

会計系の案件であれば会計士や公認会計士試験の一部合格者、IT案件であればSEや下手したら素人同然のスタッフを派遣させる。IT案件の場合、アプリ領域やPMO領域であれば基本的にゼロベースで業務を行うため、コミュニケーション能力や基礎的なビジネススキルさえあればなんとかなるのだ。

数年前はSAPやOracleといった大企業の基幹システムの刷新プロジェクトがブームであり、大企業はこの大規模システムに莫大な予算を投資してきた。
現在ではSaaSクラウドビジネスが一般的になり、自社でサーバは持たないことは勿論のこと、アプリケーションもなるべくカスタマイズしないというスタンスが流行ってきている。
そのために、コンサル業界は新しい付加価値を求めてデジタル案件に向かってきている。

デジタル案件の実態

AI・IoT・ロボット・Webマーケティング・モバイルなど、大手コンサルをはじめとしてデジタル案件化が急務であり、これらの業務に詳しい人材を各社はリクルーティングしている。
ただし、実態としては苦戦している模様である。
理由としては自明なのだが、これらの新しい概念・技術は基本的には欧米から来る概念であり、欧米系の企業に現地で働いていた人間ならともかく、日本国内に経験者などいるはずもない。
そのため、経験者など採用できるはずもなく、”興味があり、チャレンジしたい”という人材のみが応募してきておりやむを得ず彼らを採用するのだ。
”興味があり、チャレンジしたい”人材が沢山集まった結果が現状のファームである。

しかし、デジタル案件は一向に生まれず、デジタル案件の提案に苦しむディレクター・マネージャーが多数生まれている。
また案件化してもこれらの案件のライフサイクルは極めて短く、長くても2-3ヵ月でカットオーバーなため、多数の人月を投資できるほどの案件には結びつかない。

今後のコンサルファームの行方

デジタル案件の流れから、大量の人材をコンサルファームは採用し続けてきた。
正直なところ、イマイチな人材や基本的なオフィススキルを使えれば合格みたいな状態で採用をしているとよく聞く。
電通の過労死事件から、残業規制が極めて厳しくなり、「人の倍働かせる文化」から「人を倍雇って業務をこなす文化」にシフトし続けてきていると聞く。

しかし、案件の実態としては従来型のビジネスモデルからの脱却ができていない。

おそらく今後としてはコンサルファームの1人当たりの能力は数年前と比べて大きく落ち、
かつ、案件がこのままのサイクルであればリストラクチャリングが大幅に進むであろう。

昔のような「少数精鋭の激務高給料」の人材から「大量のまったりやや高給料」の人材の考え方に変わり、
提案力は落ちていくと思われる。