海外ベンチャー通信

外資系ITコンサル→海外事業の戦略コンサル

コンサルファーム特色 -ITコンサルファーム編(追記あり)

前回の記事で戦略系ファームの記事を書いた。

 

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今回はITコンサルファーム編!

 

 

ITコンサルファームは総合系・会計事務所系・シンクタンク系・ITベンダー系に分類して記述する。戦略ファーム同様、事業ドメインがコロコロ変わるので、この記事を書いている時点の状況とあなたが読んでいる状況では会社の事情が変わっている可能性もある。

ITコンサルはなかなか業界の人間でないと中身が見えにくい特徴がある。戦略コンサルと同じくらい、いやもっと肉体・精神ともに疲弊すると個人的に思うのだが、なかなか伝わっていない。

 

そもそもITコンサルとはなにかについては過去記事を読んでほしい

www.vent-strategy.com

 

 

 

■総合系:

戦略から業務分析・ITの導入・運用保守まで一貫して担当する。

戦略は会社のブランドを維持する為に保持しており、実態としては業務分析・ITがメインとなっている。売上も9割以上は業務分析以降のシステム構築・運用保守フェーズとなっている。

戦略系同様、同じくデジタル領域に参入しているが、おそらく採算が取れていない。戦略やデジタルは短期間で結果を出す傾向があるため売上の金額が小さいのである。

総合系の代表的なファームは下記の通り。

 

アクセンチュア

ITコンサルの首位であり、天下のアクセンチュア

戦略・コンサルティング・デジタル・テクノロジー・アウトソーシングまで全領域をカバーしていることに圧倒的な強みを持っている。元々は戦略と業務コンサルのみであったが、システム開発会社・システム運用会社・デジタルマーケティングの会社を買収し、全領域をカバーしている。

ITコンサルのビジネスモデルはアクセンチュアが作ったといっても過言ではない。

アクセンチュアの卒業生によって多くのベンチャーITコンサル企業が誕生した。

給料も業界首位基準である。

 

日本IBM

こちらもITコンサルの首位的な位置づけ。アクセンチュアとの違いはハードウェア・ミドルウェアを中心とした自社製品を持っているところ。そのためアクセンチュアよりもシステム開発に力を入れているという印象。売上もその分高い。ちなみに日本IBMは米IBMの子会社の位置づけであり、米の影響力が強い。

※一般的に外資系企業は「日本○○」とつくような会社は本社の子会社、「○○ジャパン」はグローパルの日本支社の位置づけとなっているケースが多い。

また、なぜか日本IBM労働組合でしょっちゅう揉めている。

 

アビームコンサルティング

もともとデロイトトーマツからスピンアウトした会社。

アクセンチュアをライバル視しているが、アクセンチュアからはあまりライバル視されていない。SAPの資格保持者は業界一であり、パッケージ導入系のコンサルティングは強い。

 

 

■会計事務所系:

デロイト・トーマツコンサルティングpwc、EY、KPMGコンサルなど。

世界4大会計事務所ののれんを買ったコンサルティングファームである。

そのため、10年前のファームと今のファームは全く別の会社というケースが往々にしてある。こちらで知っている限りはDTCとKPMGコンサルは少なくとも別の会社であった。10年前のデロイトは今はアビームであるし、今のKPMGコンサルは数年前に設立されたはず。領域としては総合系と近く、戦略から業務分析・IT導入まで担当している。

システム構築も担当している会社もあれば、システム企画までという会社まである。

各社4社の違いはあるのだろうが、私はあまり詳しくないので割愛する。

 

 

シンクタンク系:

野村総合研究所日本総合研究所、大和総合研究所、三菱総合研究所など。NTTデータ経営研究所、三菱UFJリサーチ&コンサルティングなども該当する。実態はシステムインテグレータであるが、純粋なリサーチ業務や経営コンサルも行っている。

顧客は内販のみの会社もあれば外販を重視する会社もある。例えば、野村総合研究所野村証券のシステムを前提としているイメージがあるが、小売業や別の証券会社のシステムも担当している。

 

野村総合研究所

野村証券はもちろんのこと、小売業や別の証券会社も幅広く担当している。領域は経営コンサル・リサーチ業務からシステム構築・保守運用まで。売上はやはりシステム業務が大部分を占める。

給料も業界最高水準。新卒採用はアクセンチュアと競合しており、好みによってアクセンチュア野村総研かにわかれる。

独立前提・外資系好みはアクセンチュア、長期的な雇用・野村マン社風好みは野村総研か。

 

②大和総合研究所

大和証券はもちろんのこと、外販も担当している。こちらもシステム前提とし、シンクタンク業務も担当。

外からはこの会社は何をやっているのか見えにくい部分もあり、謎につつまれている。

 

日本総合研究所

三井住友系のシステムインテグレータである。シンクタンク業務も担当しているが、やはりシステムがメイン。

 

NTTデータ経営研究所

日本最強のシステムインテグレータNTTデータのIT戦略業務を担っている。

部署によるが内販(客はNTTデータ)が多い。

中途採用メインであり、外資系コンサルからの転職者が多い。そのためNTTデータの社風は現場にはなく外資系コンサルに近い。ただし、取締役はNTTデータ出身者で固められているため、現場と役員の間で温度差がある。

 

三菱UFJリサーチ&コンサルティング/三菱総合研究所

前者は三菱UFJの銀行系のシンクタンク業務、後者は三菱グループ系のシンクタンク業務を担当している。

システム色は薄く、純粋なリサーチ・経営コンサル業務を担当している。

 

 

■ITベンダー

以下は製品をベースとしてSI業務を担当しているベンダーである。

 

①SAP

ドイツトップのIT企業である。ERPのパッケージ製品首位である。読み方は「エスエーピー」。「サップ」ではないので注意。(「サップ」と呼んでいる人は素人と思ったほうが良い)

大企業の大半の基幹システムはSAPを導入している。

ユーザインターフェスが極めて悪く、使用勝手が非常に悪い。しかしアドオン開発を前提としない、完成されたパッケージ製品であることからSAPは人気であり首位を守っているのである。

アクセンチュアやアビームもSAPコンサルティングの領域を担当しており、売上を出している。

 

②日本Oracle

SAPにつぐパッケージベンダーである。

SAPと違い、アドオン開発を前提としているため導入する際には開発者を調達する必要がある。

 

③日本マイクロソフト

オフィスやOSでおなじみのマイクロソフト

説明不要であると思うが、実は企業向けの製品が多い。クラウド領域や法人サーバなど。

 

④日本HP

こちらもPCベンダーのイメージが強いが、実はSI事業の売上が大半を占める。

HWなども自社開発しており、日立・富士通IBMあたりが競合だろうか。

 

 

■日系SIer

デー子、メーカー系、ユーザ系、独立系など、日系SIerは星の数ほどありそれぞれの特徴を把握するのは困難。なので書くのは割愛する。

ITコンサルなのかといわれると結構微妙で、システム構築以降を専門とする純システム屋といえるかもしれない。下請けや孫請けなど多重下請け構造となっているケースも往々にある。

 

 

 

一気に書いたので疲れた。

 

何度も言うが、事業ドメインがコロコロ変わるのでこれを書いているときとあなたが読んでいるときでは状況が変わっている可能性がある。

就職活動の際に、会社の強み・弱み・志望動機等を話すと思うが、実は自社の人間も強みなどを把握していない。

原則として、その会社がどのような顧客を持っているかがポイントであると考えている。その顧客の業界に応じて業界知識やテクノロジーのノウハウを蓄積していく。

また客先常駐、プロジェクト先常駐が多いため、会社の社風など実はそこまで定まっておらず、客先の文化にフィットすることが多いのである。