海外ベンチャー通信

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ITコンサルティングの幻想と現実、それでもITコンサルタントになる君へ その2

前回書いた記事がとても反響だった。

 

www.vent-strategy.com

 

本日はその続きを書きたい。

反響があったといっても、読んだ人の立場によって内容が異なる。

同業者の方からは「よくわかる!!!」といった共感を得られた一方で、
これからITコンサル業界に入ろうとしている就活生や転職予定の方からは「不安になってしまった」という声をもらった。

 

記事を書く前に1つ断っておくが、

決して「ITコンサル業界はお勧めしない」だとか「ITコンサル業界に入って後悔している」ということを言いたいわけではない。

 

私は新卒でこの業界に入って良かったと思っているし、この業界に興味を持ったひとにも是非入ってもらいたいと思っている。

ただし、この業界に入る場合はそれ相応の覚悟と考え方は持った上で入ってほしいというメッセージを伝えたい。

 

 

ITコンサルティングの使命とは何か

 

前回の記事で述べたが、ITコンサルティングとは元々、企業の抱える経営課題や業務をITを使ってサポートするということが発端である。

これについてもう少し詳しく書こう。

 

企業の業務は原則として「データ」と「フロー」「処理」の3種類の固まりで構成されている。

会社の規模が一定以上になると、これらを人力で全て管理するのは不可能であり、どうしてもシステム化せざるを得ない。

 

業務をシステム化し、システム化された業務に顧客企業の社員・人間を従わせ、業務をルーチン化させる。

これこそがITコンサルティングの目的であり、使命である。

 

名前にITとつくため、「ITコンサル=テクノロジーに詳しい人、ITマニア」と思いがちであるが、そうではない。

上述の「業務をシステム化し、システム化された業務に社員を従わせ、業務をルーチング化させること」がミッションであるため、必ずしもITに詳しい人間というわけではない。

そのためにITコンサルタントは理工系や情報系に限らず、様々な学部・学科からの応募も歓迎なのである。中途採用の「未経験歓迎」も同様である。

だが、「未経験歓迎」の言葉の裏には「ITスキルは不問、ただし覚悟を持ってきてね」という意味が込められている。

 

逆に、ITにやたら詳しい情報系の人間であっても、上述の「業務をシステム化し、システム化された業務に社員を従わせ、業務をルーチング化させること」が出来ない人間はこの業界からは不要である。

メーカーのエンジニアやWeb業界に行ってくれという話になる。

 

ITコンサルタントに向いている資質と能力

ここでITコンサルタントに向いている資質と能力を独断と偏見で述べたい。

 

私の経験上、下記の5つの資質を持つ人間はこの業界に向いている。

 

①想像力が高く、その想像力が的中する人間

②規律性のある人間

③仕事は自動化して楽して仕事したいと考える人間

④不屈の精神と集中力を持つ人間

⑤自信に満ちあふれている人間

 

以上である。

一般的には、「コミュニケーション能力が高い」とか「論理的思考能力がある」とか「リーダーシップが取れる」とかそういった能力が必要と言われているが、
あえて私はこれらの能力をチョイスした。

順番に説明していく。

 

①想像力が高く、その想像力が的中する人間

ITコンサルタントで、これが一番重要なスキルである。
システム化作業などを行っているときに、実際にこのシステムを利用してもらっているシーンを思い浮かべることはかなりの至難の業である。
また、将来的にどのような課題がきっと発生するのか、そのために今のうちに何をしておくべきなのかを想像すること。

メールを送る際なども相手がどんな反応をするのか、アクションを起こしてくれるのか想像できること。

この業界が「論理的思考能力」を持った人間を求める理由はこれなのではないかと思う。

 

②規律性のある人間

システムはどうしても大規模になる。システム化作業を行うにあたり想像を絶するほどの多くの人間が参画してくる。

多くの人間を上手い具合にコントロールすることができること。
もしくはコントロールできなくても指揮者にコントロールされることができること。

全員と歩調を合わせて同一の品質の成果物を作る。

これがどんなに難しいか。

 

映画「スターウォーズ」にてアナキン・スカイウォーカーが重要人物として出てくる。
たとえエース級のフォースを持っていても暴走しては意味がない。むしろ彼は暴走後にダースベーダーになり、帝国の中で規律性を持った人間となった。彼は良くも悪くも成長し、この資質を持つことが出来たと言える。

 

③仕事は自動化して楽して仕事したいと考える人間

これは次回詳しく述べる。
ITコンサルの発端が「自動化・業務を誰でも出来るようにする」がコンセプトであり、これが出来ない人間はそもそものコンセプトとして外れている。

 

④不屈の精神と集中力を持つ人間

非常に泥臭い仕事が多い。
今まで一生懸命やってきた仕事が手戻り化し、最初からやり直しということは往々にある。
また、システムが出来上がりテストをする際、データをひたすら打鍵するのだが、これは本当に心が壊れる。
データを打鍵し、証跡をスクリーンショットで取り、Excelに貼付ける。
この作業を朝から夜まで、しかも何日も繰り返すことは並大抵の人間では務まらない。

 

⑤自信に満ちあふれている人間

プロジェクトには色々な利害関係者が参画しており、それぞれが好き勝手なことを言う。
その中で優位に進めていく大事なポイントは「自信に満ちあふれているかどうか
自信に満ちあふれているかどうかは、すなわち声と態度のでかさに依存すると言えよう。

 

 

私はこの業界に入ったとき、残念ながら①②③④⑤の資質を何一つ持っていなかった。

 

・規律は守らない、むしろプロジェクトや上司に反旗を起こす、

・仕事は自動化せず全てを手動で実施、

・心はすぐに折れる

・何より自信がない

 

こんなことはしょっちゅうであった。

 

逆に言うと、これらの5つの資質を私はこの業界に入って身に付くことが出来たし、
信じられないことに自信に満ちあふれていると良く言われる。

これらの資質はたとえ違う業界に行ったとしても役に立つスキルであると考えている。

 

 

続く

 

 

【併せて読んでほしい記事】

コンサルファーム特色 -ITコンサルファーム編(追記あり)

コンサルティングとは何か 

ITコンサルティングの幻想と現実、それでもITコンサルタントになる君へ その1

(追記あり)【最終章】ITコンサルティングの幻想と現実、それでもITコンサルタントになる君へ その3 - 海外ベンチャーへの道標