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「イノベーションと企業家精神」を読んで

今更ながらP.F.ドラッガーの「イノベーションと企業家精神」を読み直した。

イノベーションと企業家精神」自体は1985年に書かれた本であるが、日本語のエッセンシャル版が2015年12月に出版された。

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本書ではベンチャーのマネジメントは22ページにわたって書かれていた。

いろいろ書いてあったが、3行に要約すると下記となる。

 

ベンチャーが成功するのは、多くの場合、予想もしなかった市場で、予想もしなかった客が、予想もしなかった製品・サービスを、予想もしなかった目的のために買ってくれるときである。」

 

未来は往々にして予想を裏切る。それは良い意味でも悪い意味でもである。

確かに私の周りでもベンチャーを立ち上げた知人が何人かいるが、確かに当初のコンセプトと成功時のコンセプトは異なっていることが多い。

ベンチャーが成功するときは予想もしない事態ならば、ベンチャーには経営戦略なんて必要がないのではないかと私は思った。

 

しかし、一方でドラッガーは下記のようにも述べている。

 

ベンチャーが成功するには4つの原則がある。

①市場に焦点を合わせること
②財務上の見通し、特にキャッシュフロー資金について計画をもつこと
③トップマネジメントチームがそれを実際に必要となるずっと前から用意しておくこと
④創業者たる企業家自身が自らの役割、責任、位置づけについて決断すること

 

なるほど、これらの4つの原則がベンチャー企業をマネジメントするうえで経営戦略のベースとなるのか。

①については、市場は常に変化しており、顧客のニーズや競合も変化する。それに合わせて経営戦略を常に練り直す。

②については、ベンチャーは往々にして資金繰りに苦労する。債権・債務の決済タイミングによっては営業が順調になったとしてもキャッシュが足りなくなり倒産の危機となる。特に①の変化への対応によって資金計画は常に見直さなければならない。

③については、マネジメントとは社長ひとりが行うものではない。ベンチャーは社長のカリスマ性に依存しがちであるが、経営企画室を組織化させ、チーム単位で会社をマネジメントし、判断に客観性を持たせる。

④については、創業者自身の立ち位置をきちんと把握すること。そうでないと、会社は創業者によって独裁化され、やはり判断に客観性が失われてしまう。

 

 

これから私は大企業の人間から、ベンチャーの人間にシフトする。
ドラッガーの教えをもとに、ベンチャーの生き様を感じていきたい。

 

 

きりゆ (@kiriyu0905) | Twitter